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ラグジュアリーブランドの魅力|LOEWE, 新たなプレゼンテーションスタイルを開拓し続けるブランド (ロエベ)

LOEWE

パンデミック以降、多くのラグジュアリーブランドがコレクションの発表方法を、対面のファッションショーからビデオプレゼンテーションや紙媒体のプレゼンテーションなどに切り替えています。そんな中、リアルなショーの代わりに、箱、壁紙、本などあらゆる媒体を通してコレクションの世界観を伝えてきたLOEWE(ロエベ)のデザイナー、ジョナサン・アンダーソン。そして2021/22秋冬ウィメンズコレクションでは、「Show in the News(ニュースの中のショー)」と名付けられた新聞を発表の手段として用いました。タイムカプセルのようなブリキの箱の中に新聞、レターオープナー、デボス加工されたレザーケースが同梱されて、ファッション関係者のもとにコレクションのプレゼンテーションとして届けられました。今回は毎シーズン、ユニークなプレゼンテーションを展開しているLOEWE(ロエベ)について、そしてそのプレゼンテーション方法について見ていきます。

スペインのラグジュアリーブランド、LOEWE(ロエベ)

LOEWE(ロエベ)の成り立ち

ロエベとは、スペインの高級ファッションブランドであり、1846年、エンリケ・ロエベ・ロスバーグ氏によってマドリードに創業された皮革工房が始まりでした。1905年にはスペイン王室御用達となり、1960年代よりアパレルもスタートします。1998年にアメリカ人デザイナーのナルシソ・ロドリゲス氏をクリエイティブディレクターに迎えてからは、発表の場所をマドリードからパリに移しました。現在はLVMHの傘下となっています。

デザイナー、ジョナサン・アンダーソンとは?

1984年に北アイルランドで生まれたジョナサンは、実はデザイナーになる前に俳優だったのです。ただ、俳優をやる傍らでステージ衣装に興味を持ったことから、名門ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業しました。 そして、まだ24歳だった2008年にTopman (トップマン) が主催する若手メンズウェア・デザイナーのサポート・プロジェクト、「MAN」の支援のもと自身のメンズウェアブランド「J.W. アンダーソン」を立ち上げキャリアをスタートさせます。すぐにレディースラインも立ち上げ、正確なカッティング技術、伝統とモダンをミックスさせたスタイル、男女間でシェアできるデザインへのアプローチなどで、瞬く間にファッション界の注目の的となったのです。通常は、幾つかのブランドで下積みをして、中堅ブランドのクリエイティブディレクターを経験してビッグメゾンといったステップを踏むのを、いきなりオリジナルブランドをヒットさせ、2013年にはロエベという世界有数のブランドのトップに立ってしまったのですから、彼への期待というのは計り知れません。 ロエベのクリエイティブディレクター就任以来、彼は1846年創業のこの老舗ブランドに、クラフトの持つモダンな空気を吹き込んできました。

(参照: LOEWE, https://www.loewe.com/jap/en/stories/welcome-to-loewe.html)

ロエベ

LOEWE(ロエベ)の独創的なプレゼンテーション

新聞を用いたプレゼンテーション”Show in the News”, LOEWE2021/22秋冬ウィメンズコレクション

ロエベのクリエイティブディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンは、withコロナ時代における新しいプレゼンテーションスタイルとして、「Show in the News(ニュースの中のショー)」と題したロエベの2021/22秋冬ウィメンズコレクションを発表しました。日本では、朝日新聞の折り込み(都内一部の定期購読者に配布)というユニークな方法で発表されました。「【特報】ロエベ ファッションショーを中止」と題した新聞の一面には、コレクションの内容や関わったアーティストのプロフィールが綴られ、次のページに現れた最新ルックのイメージが非現実な世界へと誘います。また、アンダーソンが尊敬しているというアメリカ人作家、ダニエル・スティールの未発売作品『The Affair(情事)』が一部抜粋して掲載されています。「コレクションに文学的な側面や、小説を読み始めた時の没入感のようなものを表現したいと思いました」と語るアンダーソン。この言葉から彼が、普段ファッションに強い関心を持っていない人々に対してもメッセージを届けようとしていることが想像できます。

(参照: LOEWE, THE SHOW HAS BEEN CANCELLED, 5 March 2021, https://www.loewe.com/eur/en/stories-collection/fw21-womens-runway-show.html)

一冊の本によるプレゼンテーション”Show in a Book”, LOEWE2021/22秋冬メンズコレクション

2021年1月23日(土)、ロエベが2021-22年秋冬メンズコレクションを公式サイトおよびソーシャルメディアにて発表しました。同時に、クリエイティブディレクターのジョナサン・アンダーソンがコレクションについて説明する動画も配信しました。アンダーソンは今回、「A SHOW IN A BOOK(本のなかのファッションショー)」というコンセプトのもと、コレクションの要素が詰まった本を世界各国のメディア関係者に前もって郵送しました。コレクション発表を見るジャーナリストや編集者はこの本を参照しながら、アンダーソンの解説を聞くという試みのためです。ロエベがオリジナルで制作した200ページのハードカバーの本には、今シーズンのインスピレーション源となったアメリカ人芸術家、ジョー・ブレイナード(Joe Brainard, 1942-1994)の作品が詰まっていました。ジョー・ブレイナードの作品に着目した理由について、ジョナサンは「ジョー・ブレイナードは過小評価されているアーティストのひとりです。ジョー・ブレイナードは残念ながらエイズで亡くなったのですが、パンデミックの最中にいる私たちも当時の彼も、ウイルスと戦うという点で共通することが多いと考えました。そこで私は今回、彼のアートとファッションの間に生まれる会話を探求したのです。非常に美しいプリントと素晴らしい文章を手がける彼の作品は、とても楽観的だと思いました。僕が作りたいのは、彼の作品にように夢があって、人を楽しませるファッションです。コレクションで発表する服を見て、いまの状況から抜け出す瞬間を想像してほしいと思います」と語っています。ブレイナードが得意とするカラフルな花のコラージュ作品は、ニットウェアをはじめ、テーラードジャケット、シャツ、パンツ、バッグ、シューズにいたるまで、美しくほどこされており、彼の言葉通りの見る人を楽しませる作品を発表しました。

(参照: VOGUE, 「ロエベはある種のコラージュなんです」──ジョナサン・アンダーソンが語る「Show in a BOOK」への想い。, ROSALIND JANA, 2021.02.02,https://www.vogue.co.jp/fashion/article/a-first-look-inside-loewes-show-in-a-book-with-jonathan-anderson-cnihub)

アパレル転職

箱入りファッションショー”Show in a Box”, LOEWE2021春夏メンズコレクション

パリのファッションウィークがデジタルで開かれるのは歴史上初めてで、参加するブランドにとっても初の試みが多くなった2021春夏コレクション。ロエベのクリエイティブ ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)は、従来のコレクション発表をオンラインに置き換えるだけではなく、「触れる」という体験を提供するため「Show in a box」と言われる箱型のプレゼンテーションを制作しました。監修は、アンダーソンとエムエムパリス(M/M Paris)が行いました。着想源は、マルセル・デュシャンの作品「Museum in a box」からで、ポータブルミュージアムという構想でデュシャンの主要作品のミニチュアや複製などを収めた革製のトランクからインスピレーションを得て、ロエベのショーそのものを「Show in a box」に収めたプレゼンテーションになっています。箱の上部を開けると、中は12のフォルダーに区切られており、各フォルダーには全て異なる形状の資料が収められていて、一番手前のアンダーソンからの手紙には、プロローグとしてメッセージが記されていました。他にはインスピレーションソースが書かれたブックレットや、新作の全ルック(メンズの2021年春夏コレクションとウィメンズの2021年クルーズコレクション)が載ったミニブックが収納され、さらにキールックとバッグは直方体に組み立てると前後左右のデザインが確認できる仕様。シューズの写真はポストカードに印刷。サングラスは穴の空いた厚紙に印刷され、組み立てて試着する楽しさがある。実際にコレクションに使われた生地スワッチが入っていて触れることができるのは、従来のショーでは得られない体験でもあります。さらにユニークなのはコレクションのキーアイテムの一つであるサークルトップスの型紙(パターン)で、つまり型紙を使って自分で服を制作できるようになっているのです(公式サイトからもダウンロード可)。ショーには欠かせないBGMは手動のカードボード・レコードプレイヤー(指でレコードを回すとナレーションが流れる)、架空のショー会場はポップアップ式のブック(飛び出す絵本)で表現され、それぞれ工夫を凝らした作りがコレクションのイメージをさらに掻き立てています。このプレゼンテーションには、コレクション製作のプロセスに欠かせない、制作チームの一人一人の横顔の切り絵も収められていました。

(参照: LOEWE, Live events for the show-in-a-box, https://www.loewe.com/eur/en/stories-runway/show-in-a-box.html)

まとめ

LOEWE2021春夏メンズコレクション”Show in a Box”の中のアンダーソンからの手紙には、「私たちは今、前例のない状況に向き合っています。未来はやってきますが、私は今に興味があります。ファッションとは、突き詰めていくと現在を指すものです。私はプロセスにフォーカスをし、マネキンを使って仕事をしました。このBOXを通じて私は始まりからショーまでの過程(プロセス)をシェアしたいと思いました。皆さんがこの経験に関わり、楽しんでくれることを願って」と書かれていました。彼は人々が困難な状況と考える中でも、持ち前の創造力を駆使し、対面のファッションショーとは違った形のプレゼンテーション方法をロエベというブランドを通して次々と試みているのです。その彼の試みは困難の中にありながらも、その新たな挑戦に楽しみを感じているかのようにも見て取れます。そしてその楽しみを、コレクションを見る側の人々にも感じてほしいと願っているのです。

(参照: fashionsnap, ロエベの箱入りファッションショー「Show in a box」12の資料から見て触って作る新体験, 13.07.2020, https://www.fashionsnap.com/article/loewe-show-box/)

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