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デンマークのコペンハーゲンを拠点に、フェミニンなドレスを中心としたコレクションを展開する CECILIE BAHNSEN (セシリーバンセン)。フェミニティの詰まったオートクチュールやレースの職人技術と北欧らしいクリーンな要素を取り入れたスペシャルなドレスが、多くの女性たちの共感を呼んでいます。今回はそんなセシリーバンセンのドレスの魅力についてご紹介していきます。
セシリーバンセンはそのユニークなブランド理念とドレスが評価され、2017年には LVMH プライズのファイナリストに選出され、一躍話題のブランドになりました。彼女が辿って来たキャリアもブランドの魅力を紐解くのに不可欠な要素と言えます。2007年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業し、デザイナーアシスタントとして、Dior (ディオール) や、コペンハーゲンのロイヤルデンマーク劇場のコスチュームに関わる仕事に携わります。その後、デザイナーの John Garlliano (ジョン・ガリアーノ) のアシスタントを経験します。その後改めて、ウィメンズファッションデザインをイギリスのロイヤル・カレッジ・ オブ・アートで学び直しています。それはひとえに彼女の勤勉さを物語っています。卒業後の2011年には、イギリスのコレクションブランド、ERDEM (アーデム) で経験を積み、2015年にデンマークに帰国し、自身のブランドを設立します。すぐに若手デザイナーとして頭角を現し、その2年後には注目のデザイナーとして世に名を轟かせることになります。この急ピッチともいえるブランドの成長に一役買ったのが、英国発のオンラインストア MATCHESFASHION (マッチズファッション) です。CECILIE BAHNSEN をいち早く買い付け、2019年5月にはエクスクルーシブ・カプセルコレクションを発表します。その後、定期的にコペンハーゲンのファッションウィークでコレクションを発表し、その他にも英国のゴム引きコートで有名なMACKINTOSH(マッキントッシュ)や女性アーティストとのコラボレーションを行うなど、彼女のクリエイションを広める活動は多岐にわたっています。
(参照: Forbes, Meet Cecilie Bahnsen, The Designer Bringing Danish Fashion To The Foreground, Barry Samaha, 3 Feb 2020, https://www.forbes.com/sites/barrysamaha/2020/02/03/cecilie-bahnsen-copenhagen-fashion-week/?sh=6246492d5d97)
セシリーバンセンによれば、彼女のクリエイションの主なインスピレーションの源は、フェミニティ、ロマンス、ディテールからきていると言います。また、テキスタイルデザインに携わった経験から、トルソーを使って実際にファブリックに触れながらドレープの可能性を追求することからもインスピレーションのヒントを得ることが出来ると語っています。これらのすべてがクリエイションをする上での情熱であり原動力となり、ブランドの世界観を形作っています。また、ロンドンとパリに住んでいる時に、ミニマルなデザインが主流なコペンハーゲンでは見られなかったロマンチックなデザインにも影響を受けたと言います。すべての要素が絶妙なバランスでミックスされ、セシリーバンセンというブランドを形作っているのです。
(参照; #legend, Designer spotlight: What inspires Cecilie Bahnsen, Zaneta Cheng, 2 March 2021, https://hashtaglegend.com/magazine/designer-spotlight-cecilie-bahnsen/)
セシリーバンセンは、今の時代に、女性デザイナーとして女性に向けてドレスを作ることに大きな意義を感じていると語っています。現代の女性たちに、着た時に自信が満ちて、かつ着心地がいいものを提供したいという彼女の想いがそこにはあります。旅先で見つけたヴィンテージの古いドレスをデザインの参考にすることが多く、そこから新しいアイデアが浮かぶことにも、歴史的な女性達とのつながりを感じると語っています。そしてソーシャルメディアを通して、世界中の女性たちが異なる分野で何か産み出している姿を見ることでも、自身のクリエイションへの刺激と結びつきを感じていると言います。
(参照; #legend, Designer spotlight: What inspires Cecilie Bahnsen, Zaneta Cheng, 2 March 2021, https://hashtaglegend.com/magazine/designer-spotlight-cecilie-bahnsen/)
セシリーバンセンのドレスは、そのふわりとしたボリュームと女性の身体を意識した構造がとても特徴的です。彼女のドレスには、重さを感じるボリュームの中にも、透き通るような素材や繊細な淡い色のテキスタイルが使われており、ある種の軽やかさを感じることができます。それは女性が着用した時に、常に身体が自由を感じられることを重視して作られているからなのです。そして、サイズに縛られず様々な体型、そして幅広い年齢の女性が着用できる服作りを目指しているセシリーバンセンの思いが、そのボリューム感に表れています。
(参照: BAZAAR. Cecilie Bahnsen: Introducing the designer behind fashion’s prettiest dresses, ELLA ALEXANDER, 14 JAN 2020, https://www.harpersbazaar.com/uk/fashion/fashion-news/a30497653/cecilie-bahnsen-designer-interview/ – location-choice)
セシリーバンセンは自身について、”私はファッションデザイナーですが、ファブリックデザイナーの役割も兼ねていると思います”と語っています。その言葉通り、彼女の毎シーズンのコレクションは、素材作りからスタートします。そのシーズンのイメージを表すスペシャルな生地をオリジナルで一から制作しています。もともと彼女自身が手を動かして何かを作るのが好きなため、刺繍にジャガード、ビーズワーク、プリント、キルティングなどというように、ひとつのコレクションの中にはさまざまな素材の表情が同居しています。同時に、最新のファブリックメイキングの技術も積極的に取り入れており、素材の美しさを表現するために、あらゆる可能性を探っていることが彼女のドレスから見て取れます。でき上がった生地を見て、スケッチを描いたりトワルの上で形を作ってみたりと実際の作業を始めていくといいます。セシリーバンセンのコレクションにとって、こだわり抜かれたテキスタイルは、クリエイションの出発点でもあり、スタイルやシルエットを決めるためのインスピレーションとなる大切な役割を果たしているのです。
(参照: BAZAAR. Cecilie Bahnsen: Introducing the designer behind fashion’s prettiest dresses, ELLA ALEXANDER, 14 JAN 2020, https://www.harpersbazaar.com/uk/fashion/fashion-news/a30497653/cecilie-bahnsen-designer-interview/ – location-choice)
セシリーバンセンのコレクションの多くを占めるのが白です。彼女にとって白いドレスというのは、まだ何も描かれていないキャンバスのような存在だと言います。白はディテールワークやシルエットの完成度をとてもはっきり映し出すため、いつも好んで最初にデザインするのは白いドレスだと語っています。しかし、ひとえに白と言っても、彼女のドレスには透け感のある白、ヘビーな質感の白、軽やかな白など、様々な白が使われており、その素材によってとても異なる印象を放っています。
(参照: BAZAAR. Cecilie Bahnsen: Introducing the designer behind fashion’s prettiest dresses, ELLA ALEXANDER, 14 JAN 2020, https://www.harpersbazaar.com/uk/fashion/fashion-news/a30497653/cecilie-bahnsen-designer-interview/ – location-choice)
セシリーバンセンのドレスのクオリティやデザインは、一過性のトレンドではないタイムレスなものを提案しています。セシリーバンセンが大切にしていることは、そのドレスが長い間、愛情を持ってもらえる一着であるということ。そのためにオリジナルのファブリックのデザインと開発に協議を重ね、多くの時間をかけていると言います。そして制作には、ブランドを設立した当初からパートナーシップを結んでいる工場の存在は重要で、デンマークとリトアニアで生産を行い、スイス、イタリアでファブリックを作っており、彼女にとって彼らは家族のような存在で、そこで働く人たちのことを知り、ともに成長していくことも、サスティナブルな取り組みの一環として大事に考えていると語っています。その他にも、生産は買い付けがあった分のみ生産するようにするなど、デットストックが生まれない構造にすることで、一着の価値を高めていることもセシリーバンセンのクリエイションの特徴です。
(参照: fashionpost, https://fashionpost.jp/portraits/174715)
2020年に、英国を代表するアウターウェアブランドのMACKINTOSH(マッキントッシュ)が、CECILIE BAHNSEN(セシリー バンセン)とコラボレーションしたコート「CECILIE BAHNSEN crafted by MACKINTOSH」を、DOVER STREET MARKETにて発売しました。デンマークらしいミニマルな美学を反映させた、フェミニンかつ繊細なコレクションを発表するCECILIE BAHNSENの持つシンプルでモダンな女性らしいスタイルを、 英国の歴史が育んだ、ゴム引きのレインコートに落とし込みました。CECILIE BAHNSENは、20 F/Wコレクション用に2つのシルエットで計7つのコートをデザインしました。それらは全てMACKINTOSHのアーカイブのメンズコートを再解釈したもので、 1つ目は、典型的なMACKINTOSHにCECILIE BAHNSENらしいツイストを加えたもの。彼女のドレスにある特徴的なボリュームに、取り外し可能なフードとキルティングの裏地がつけられました。2つ目は特大のフード付きケープで、ゴム引きのハリのある生地が生み出す独特な彫刻のようなシェイプは、どちらもMACKINTOSHの伝統的なファブリックで構築されたCECILIE BAHNSENの服だと一目で分かる作りになっています。この2型のコートは、さまざまなファブリックで展開さレました。マットな生地感は、北欧の洗練されたシンプルさを備えており、憂鬱な雨の日にCECILIE BAHNSENの作るロマンス溢れるドレスに羽織るとさらに魅力が増すようにデザインされました。またこの2型のコートは、通常アウトドアアパレルに使用される防水ナイロン素材でも制作され、CECILIE BAHNSENはこのテクニカルナイロンにキルティングを施し、繊細な花の刺繍を加え、クチュールレベルの生地に仕上げ、可愛らしさと実用性を兼ね備えたスペシャルなピースを誕生させました。今後もセシリーバンセンの作り出すフェミニティとロマンスを持ったスペシャルなクリエイションから目が離せません。
(参照:RETOY’S, 英国を代表するアウターウェアブランドのマッキントッシュがセシリーバンセンとコラボレーションしたコート「CECILIE BAHNSEN crafted by MACKINTOSH」を発売, https://retoys.net/pressnews/171279/)
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