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BURBERRY(バーバリー)は1856年のイギリスで創立したファッションブランドで、トレンチコートを始め、バッグや財布、ネクタイに至るまで幅広くブランド展開をしていて、現在でも世界中で愛され続けています。BURBERRYと聞くと誰もが思いうかべるのは、黒、キャメル、赤、白のBURBERRYを象徴するチェック柄ではないでしょうか。’バーバリーチェック’としてあまりにも一般的に浸透してしまったこのチェック柄ですが、初めてこのバーバリーチェックが登場したのは1920年でした。 今回はこのBURBERRYのアイコン’バーバリーチェック’について詳しく見ていきます。
BURBERRYは1856年にトーマス・バーバリーによって創業されました。1835年にイギリスのサリー州ブロッカムグリーンに生まれたトーマス・バーバリーは、服地商の見習い職人を経て、1856年に若干21歳でイギリスのベイジングストークに洋服店を開業します。幅広い商材を扱う品揃えの良さや、常に機能性や着心地を追求し続ける意識の高さからとても人気を集めました。そして1879年、ギャバディンという防水性と耐久性に優れた新素材を発明したことで、BURBERRYの名は一気に広まっていきます。1888年にギャバディンの特許を取得し、1917年までその製法を独占することで一躍有名になります。ギャバディンが極地探検家の防寒着やテントに使用されたり、イギリス陸軍がトレンチコートを正式採用したことで1919年にはジョージ5世からロイヤルワラントを与えられました。 国内だけでなく海外からも需要の高かったBURBERRYは、1891年にイギリスのロンドンに本社を移転します。その後BURBERRYは、革新的なアイテムを数多く発表しました。
2002年春夏より、ダナ キャラン、グッチで経験を積んだクリストファー ベイリーがクリエイティブ・ディレクターに就任します。クリストファー・ベイリーはBURBERRYの定番であるチェックをコレクションラインから一掃し、BURBERRYのブランドに新しいイメージを吹き込みました。以後、クリストファー・ベイリーは世界でもっとも影響力のあるデザイナーの一人と言われています。2018年3月をもってクリストファー・ベイリーがチーフ・クリエイティブ・オフィサーを辞任します。その後、チーフ・クリエイティブ・オフィサーにジバンシィで長くクリエイティブ・ディレクターを務めたリカルド・ティッシが任命されました。2018年9月、リカルド・ティッシのデビューコレクションでは、リアルファーを使用しないことを事前に宣言します。また、デビューコレクションの一部アイテムを、ショー後24時間限定でインスタグラムにて発売する試みも行われました。
(参照: FASHION PRESS, https://www.fashion-press.net/brands/99)
キャメルと黒と白、そして赤のラインの入ったバーバリーチェックは、もともとはトレンチコートの裏地として1920年に初めて登場し、1924年に「カントリー・タータン」として売り出していきました。しかし、まだこの頃は「BURBERRY=チェック柄」のような構図が成り立つほどではなく、どちらかというと裏地という地味な存在だったのです。それが1964年の東京オリンピックの際に女子の英国代表チームがBURBERRYのトレンチコートを腕にかけていて、その時にチラリと見えた裏地のチェック柄からバーバリーチェックが注目を浴びました。その後1967年のコレクションで裏地ではなく、チェック柄を全面的に採用したアイテムが発表され、今の「BURBERRY=チェック柄」というイメージが定着していったのです。 現在は「バーバリーチェック」として商標登録もされています。
1. バーバリーチェック
最もベーシックなBURBERRYのチェック柄でキャメル地に白と黒のラインに赤が入っている誰もが一度は見たことのある柄だと思います。バーバリークラシックチェックやBURBERRYの本社であるヘイマーケットチェックなどと呼ばれたりもします。 清楚な色合いが特徴的でトレンチコートの裏地から様々な小物にまで使われる万能デザイン。これこそがBURBERRYのアイコンと考えて間違いありません。
2. ハウスチェック
定番のバーバリーチェックを大きく拡大したような、幅の広い柄です。カラーはキャメルではなく濃い目の茶色地に黒・白・赤のラインが交差する、コントラストがはっきりとしたデザインです。2006年のBURBERRYのコレクションとともにクリストファー・ベイリーによって発表されました。発表された当初はスーツやバッグなどのシャドーチェックとして採用されていましたが、近年ではノバチェックと同じく若年層向けのデザインとして人気を集め、さまざまなアイテムに使われています。大きく大胆なデザインでインパクトがあり、小物類であっても存在感を醸し出すことが出来ることから人気が高くなっています。
3. ノバチェック
ある意味ベーシックなバーバリーチェックよりも斜めに入ったラインがモダンな雰囲気を醸し出しているので、バッグや財布、洋服なんにでも合うデザインです。ノバチェックをバーバリーチェックと思っている人も多いと思います。 通常のバーバリーチェックよりも太いラインが斜めに入っていて、そのクロスされた部分によってひし形を作るというのがノバチェックの特徴です。女性向けのアイテムなどに多く活用されている定番パターンとなっています。
4. メガチェック
ハウスチェックのラインを幅広にしたようなデザインのものがメガチェックと呼ばれるデザインです。別名ジャイアントチェックと呼ばれています。縦横に太いラインや細いラインを入れた、カジュアルなデザインのチェックです。色のバリエーションも多く、子供服に使われることも多いため注目されているデザインです。大き目の柄でインパクトがあり、シャツであれば一枚羽織るだけでもコーディネートが華やかにみえます。
5. スモークドチェック
ハウスチェックはベーシックなキャメル地に黒と白、赤のラインのバーバリーチェックを拡大したようなデザインですが、このスモークドチェックはその名前の通りでハウスチェックのパターンに対してカラーをスモークがかかったような地味目のカラーにアレンジしたものです。 ベージュやダークブラウンなどを基調としたカラーで落ち着いた小物などに使われる少し大人な方向けのパターンになっています。
6. ビートチェック
ブラックのベースに対して濃いグレーや薄いグレー、ホワイト、ベージュなどシックなカラーを組み合わせた落ち着いた感じのチェック柄です。バッグや財布などの革小物やネクタイ、スカートなどに使われており、かなりクールなイメージが強い柄です。
7. TBモノグラム
クリストファー・ベイリーから、リカルド・ティッシにクリエイティブ・ディレクターが変わったことにより、これまでのバーバリーチェックから新しいモノグラムデザインが生み出されました。 創業者のトーマス・バーバリーのイニシャルからTBモノグラムと呼ばれるパターンで、BURBERRYのアーカイブに合ったデザインをリカルド・ティッシが再解釈し、現代に蘇らせたものです。 新生BURBERRYの様々なアイテムに採用されているTBモノグラムは、新しいBURBERRYのシグネチャーとして定番化しています。
(参照:GRAILED, The History of Burberry’s Check, https://www.grailed.com/drycleanonly/history-of-the-burberry-check)
トーマス・バーバリーがブランドを立ち上げた当初から、未知の世界を探求し切り拓いていくというBURBERRYの核であるアウトドアへの繋がりから着想を得たという、2021年秋冬メンズプレコレクションでは、シグネチャーなチェックのコートは、ビロウポケット付きのジレが取り外し可能となっており、チェック柄のキルトとタキシードパンツがコーディネートされています。また、フェミニニティをテーマに掲げた2021-22年秋冬シーズンでは、チーフ・クリエイティブ・オフィサー リカルド・ティッシの心を捉えたのは、揺るぎのない目的意識とプライドを持って、自分と8人の姉たちを育て上げたシングルマザーの母親でした。そんな リカルド・ティッシが「女性へのラブレターであり、女性の比類なき力を祝したもの」だと位置づけたコレクションでは、“戦士”のように強く生きる女性たちに捧げる、“モダンな鎧”が披露されました。コレクションの中には、BURBERRYを代表するアイテムであるにジャイアントチェック柄のカシミア素材のケープが肩を覆い、テーラードジャケットと組み合わされた新しいデザインで表現されています。時代やデザイナーとともにバーバリーチェックは変化を遂げ、今もBURBERRYの揺るぎないアイコンとしてコレクションを彩っているのです。
(参照:THE RESTORY, TIME FOR THE TRENCH: A BRIEF HISTORY OF BURBERRY, https://the-restory.com/2019-5-1-time-for-the-trench/)
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