アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
アパレル・ライフスタイル業界での
転職にまつわる豆知識
冬の定番ウェアであるニットのうち、ファインゲージニットと呼ばれるものがあります。細い毛糸を細やかに編み込んだファインゲージニットは、着心地の良さも暖かさも有したニットです。中でも、イギリスで生まれた老舗ニットメーカーJOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー_)が手がける30ゲージのニットは、生涯着ることのできるファインゲージニットと呼ばれています。今回は、ジョンスメドレー_の30ゲージニットの魅力、そして一般的なニットとの違いをご紹介します。
産業革命の初期の1784年、イギリス・ダービシャーのリーブリッジ村に創業したJOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー_)。創業当初は、綿花を紡ぐことや織物の一種であるモスリンを製織することに力を入れていましたが、18世紀の終わりから、靴下製造や毛織物産業を始めます。1819年には、先代の後を継いだジョン2世が最上級の品質を選び、紡ぎや編み、縫製までの全工程を自社で行うべき、という方針を掲げました。この方針は、後にJOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)が小さな紡績工場からニットメーカーとして広く知られていく原動力となります。その後、当時の最新紡績機や編み機を導入し、より効率的な生産とともに、編み目が非常に細かいファインゲージニットを製造していくことになります。薄手ながら暖かい、柔らかで美しいJOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)のファインゲージニットは、ブランドの代名詞として現在に至るまで自社で作り続けられています。
(参照: johnsmedley, Compsny History, https://www.johnsmedley.com/discover/british/company-history/)
ファインゲージニットとは具体的にどのようなニットを指すかご存知でしょうか。「ファインゲージ」の「ゲージ」とは、編機の針の密度を表す単位で、1インチ(2.54cm)間に編み機の針が何本あるかを表しています。よってゲージの数値が高くなるにつれ、同じ長さの生地によりたくさんの編み目が出来る、つまり、より細やかな編み目を持った生地になります。太めの毛糸でざっくりと編んだニットはローゲージ(5ゲージ以下)、7、8、10ゲージはミドルゲージ、そして12ゲージ以上はハイゲージと呼ばれています。使う糸が細ければ細いほどハイゲージとなるのですが、繊細な編みを実現するには、それだけ熟練の技術が必要になります。JOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)は、さらに細かい30ゲージまで編むことが出来る技術を持っており、ファインゲージニットのパイオニア的存在として知られています。
(参照:knittingbird, ゲージと番手について、http://knittingbird.com/2011/06/06/556/)
ファインゲージニットは、一言でいえば「編み目が細かい」ニットの事です。この細やかな編み目ゆえに、体に密着するので風を通さず保温性に優れており、柔らかで美しい光沢、艶を見せます。また着心地に関しては、肌触りがすべすべと気持ち良く、重量が軽いため、着用していても肩が凝りにくいという特徴があります。一般的なウールのニットと言うと毛足が長く、肌にちくちく刺さるような着心地であったり、ゴワゴワとした肌触りであったりを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、ハイゲージニットを選ぶことで同じウールでもさらりと滑らかな着心地を体感することができます。つまりハイゲージニットは、従来のウールニットの懸念を払拭したアイテムとも言っても過言ではないのです。
(参照:knittingbird, ゲージと番手について、http://knittingbird.com/2011/06/06/556/)
– ニュージーランドのメリノウール
羊毛の中でも最高品質と言われるのがメリノウールです。メリノウールは、繊維が特に細くて柔らかく、肌触りが良いため、高級ニットウェアのみならず・高級スーツ・ドレス等に使われることで知られています。JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)は、ニュージーランドの牧場と直接契約を結び、徹底された管理、飼育により、独自に質の高いメリノウールを仕入れています。その一例として、羊一頭一頭に名前をつけて大切に育てるといったこだわりを持っています。しなやかな肌触りと上品な光沢、さらにシワがつきにくくストレッチ性もある、正に最高級の素材なのです。
- 春夏の最高級素材、シーアイランドコットン
JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)の春夏アイテムのほとんどに用いられるのが、このシーアイランドコットンです。栽培が非常に困難で、かのエリザベス1世が門外不出にした歴史があるほど、コットンの中でも最高級の天然素材として世に知られています。シルクのような品の良い光沢とカシミアのような極上の肌触りが特徴です。古くからJOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)は、春夏用の30ゲージのファインニットにこの貴重なコットンを厳選して使用しています。
(参照:johnsmedley, Why Our Products Are So Good, https://www.johnsmedley.com/discover/quality/why-our-products-are-so-good/)
JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)では、パーツごとに複数の編み機を使い分けています。1877年には繊維を切断することなく、身頃や袖といったパーツを均一に編み立てが可能なコットン・パテントと呼ばれる当時最新の編み機を導入します。その後、前身頃や後ろ身頃のパーツ編みにBentley(ベントレー)と呼ばれるフルファッション編み機を採用し、こちらは既に製造が終了している編み機でありながら、メンテナンスをしつつ70年以上使い続けているのだと言います。その他にも、一着をまるごと編むことが出来るホールガーメントの編み機を採用するなど、各ニットの形状にあわせて様々な編み機が導入されています。製品の仕上がりや品質を保つために、機械とも何十年と長い付き合いをしていく姿からは、イギリスのものづくりに通ずるような、一つのモノを大切に使っていく想いを感じることができます。
(参照:johnsmedley, Why Our Products Are So Good, https://www.johnsmedley.com/discover/quality/why-our-products-are-so-good/)
パーツごとに編み立てられた後、各パーツは手縫いで縫い合わされていきます。ミシンではなく手で行うことで伸縮性を持たせることができ、体へのフィット感が良くなるのだそうです。その後、洗いにかけて乾燥され、プレスされると、首まわりの裁断やボタンやネームの付属品等、全35工程を熟練の職人が手がけていきます。その後再度プレスをすることで、ようやく一着のファインゲージニットが出来上がります。
(参照:johnsmedley, Design, https://www.johnsmedley.com/discover/design/)
<小見出し H4>着心地を左右する細部へのこだわり
JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)のニットは、袖口の小さなディテールにも着心地へのこだわりが感じられます。一般的に袖口の縫い代は、内側に隠すのが基本です。しかし、JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)のニットは袖口の縫い代を外側へ露出させています。これは、ニットを着用した際に袖口の縫い代が当たるのを防ぐために採用された、JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)独自のディテールです。JOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)の快適な着心地を実現しているのは、袖口の仕様をはじめとした細部へのさりげない配慮によるところも大きいのです。
(参照:johnsmedley, Design, https://www.johnsmedley.com/discover/design/)
JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)のセーターは、テーラードジャケットを羽織ったときに裾がはみ出ない程度の絶妙な丈感をキープしているため、フォーマルなドレスアイテムとも好相性なデザインに仕上がっています。裾にはリブ編みのしぼりもきいているため、タックアウトでもだらしない印象を与えないのが特徴です。単体だとどこか物足りなく感じるタイドアップシャツスタイルに合わせたり、スーツスタイルのさりげないハズしとしても取り入れられる汎用性の高さは、仕事でジャケットを着るビジネスパーソンにも魅力的なポイントです。
(参照:johnsmedley, Design, https://www.johnsmedley.com/discover/design/)
最高級の素材を使い、有能な職人たちによって編まれた高級ニット。エリザベス女王は兼ねてからJOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)の愛用者であり、自ら店舗に足を運んでいたそうです。「最低5年以上英国王室に商品提供する」という条件もクリアし、JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)は英国王室御用達ブランドとして確かな地位を確立しています。さらに英国王室のみならず、世界中のセレブたちにもファンが多いのも特徴です。トム・クルーズ、マドンナ、ショーン・コネリー、ニコール・キッドマン、ヒュー・グラント、ポール・ウェラーなど、その虜になるセレブは多岐に渡ります。007スカイフォールは、ジェームズボンド演じるダニエル・クレイグが上海のシーンで、JOHN SMEDLEY(ジョンスメドレー)のニットをタイドアップしたドレスシャツにあわせて着用していることでも有名です。
(参照:esquire, How John Smedley Made Knitwear An Iconic Staple, https://www.esquire.com/uk/style/fashion/a23393046/how-john-smedley-made-knitwear-an-iconic-staple/)
WILLWORKS0114