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ラグジュアリーブランドの魅力❘CHANELのツイード生地ができるまで(シャネル)

CHANEL

女性の自立と自由を象徴するファッションブランドCHANELは、世の女性の憧れのラグジュアリーブランドであり、世界のセレブリティにも愛用者が多数存在しています。ラグジュアリーブランドといえば、バッグや財布をイメージしますが、CHANELは根強い人気アイテムとして、そしてCHANELのアイコンとしてツイード生地のスーツがあります。今では当たり前にある女性用のスーツ、ノーカラーのジャケットに膝下丈のストレートラインのスカートという組み合わせは、実はCHANELの創設者のGabrielle Chanelが1923年に初めてデザインしたものです。そしてCHANELスーツをより魅力的そして唯一無二のものにしているのが、その美しいツイード生地です。そこで今回はCHANELのツイード生地について見ていきましょう。

CHANELのツイードスーツの歴史

Gabrielle Chanelが初めて手掛けたツイード生地のスーツが、1923年8月パリのコレクションにて披露されました。スーツといえば男性が着るものいう認識の時代に、女性のためのスーツという新しいスタイルは、Gabrielle Chanelが世界で初めて提案しました。「なぜ女性は窮屈な洋服ばかりなのか」というGabrielle Chanelの疑問をもとに、英国人の男性用のスーツの仕立て方法や使われる素材を女性用スーツにも取り入れ、当時のドレッシーで華美なスタイルが当たり前だった女性用ファッションを打ち破る女性用スーツを提案したのです。 しかし世界は第二次世界大戦に突入し、ヨーロッパは混沌とした雰囲気に陥りました。それまでシャネルは店舗数を着実に増やしてきたものの、1939年にはほとんどの店舗を閉店せざるを得なくなりました。フランス、パリは戦争の影響が強い地域だったため、Gabrielle Chanelはデザインの仕事を一旦止めて、スイスに数年移り住むことを選びます。1954年、長い時を経てココ・シャネルがファッション業界に舞い戻りました。この時、Gabrielle Chanel は70歳になっており、かつてはファッション業界を一斉風靡した人物だったのにも関わらず、世間からは忘れられつつありました。1923年に考案されたスーツをさらに進化させ、今のシャネルスーツの形が完成されました。ツイード生地はそのままに、襟のないスクエア型ジャケット、スリムストレートの膝丈スカート、スーツのメインカラーと対照のブラックの縁取りブレード、シャネルロゴの入った印象的な飾りボタン、まさに今も受け継がれるCHANELのツイードスーツと呼ばれるスタイリッシュでエレガンスな女性用スーツです。戦争によって、ラグジュアリーブランドとしての地位を一度失いかけたCHANELでしたが、CHANELのツイードスーツの革新はヨーロッパのみに留まらず、アメリカの女性たちにまで広がっていきました。戦後のアメリカでは、様々な分野で目覚ましい発展の真っただ中であり、女性の新しいファッションスタイルとしてCHANELのツイードスーツに留まらず、機能的でおしゃれなアイテムが豊富なシャネルに熱愛するファンが続出しました。そして上流階級のセレブや公人の多くがシャネルのツイードスーツを愛用したことで、女性のスーツに対する関心意欲は飛躍的に高まっていったのです。

(参照: crfashionbook, THE HISTORY OF THE CHANEL TWEED SUIT, 5 JAN 2020, Vienna Vernose, https://www.crfashionbook.com/fashion/a26551426/history-of-chanel-tweed-suit/

シャネル

Karl LagerfeldとVirginie Viard、二人のデザイナーとCHANELのツイード生地

今日までのCHANELのツイード生地のもたらす豊かな表現力は、1983年にシャネルのアーティスティック ディレクターに就任し、2019年に亡くなるまで偉大なメゾンCHANELを再び世界的ブランドへと変貌させたKarl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)と、長年に渡ってKarl Lagerfeldの右腕としてCHANELを支え、Karl Lagerfeld亡き後はその後任を任されたVirginie Viard(ヴィルジニー・ヴィアール)の二人の天才的な創造性によって作られました。二人の偉大なデザイナーによって1923年にGabrielle Chanelが女性用のツイードスーツを発表して以来、CHANELはオートクチュールとプレタポルテのコレクションで、毎シーズン新しいツイード生地を使ったスーツを発表し続けています。Karl Lagerfeldは、1983年に CHANELのアーティスティック ディレクターに就任した際に、Gabrielle Chanelが作り出したCHANELのアイコン、ツイードスーツに使われていたツイード生地のレパートリーを大幅に拡大し、スーツだけでなく、ジャケット、コート、スカート、デイドレス、イブニングドレス、ウェディングドレスなど、あらゆるルックに採用しました。さらに彼は、アクセサリー、バッグ、靴、コスチュームジュエリーにもツイード生地を取り入れ、モダンで斬新なデザインにしました。彼のデザインするツイード生地はいつも特別で、スパンコール、ビーズ、フリンジによる美しい装飾に加え、デニム、チュール、シフォン、ルレックス、レース、オーガンザ、レザー、コード、リボンなどの様々な素材が絶妙に組み合わされおり、ツイードの新たなバリエーションの形を常に探求していました。彼のデザインしたツイードは時に、羽で縁取られ、レースで覆われ、繊細な刺繡で飾られ、真珠やスパンコールによって輝き、鋲で贅沢に飾られていました。現在ではVirginie ViardがKarl Lagerfeldの豊かな創造性と作品づくりへの情熱、そしてGabrielle Chanelの女性的な強さや意思を受け継ぎ、新たな時代に調和するツイードスーツに代表される魅力的なCHANELのスタイルを発表しているのです。

(参照:MIA LE JOURNAL, THE STORY OF CHANEL, 13 APRIL 2020, https://www.mia-lejournal.com/fashion/4102-chanel-tweed.html)

LESAGEによるCHANELのツイード生地

CHANELのツイードを生み出すLESAGE(ルサージュ)

CHANELのコレクションを手がける複数のアトリエの中でも、特に名前が知られているのがLESAGE(ルサージュ)です。年に2回開催されるオートクチュールのショーで複数のクチュールメゾンの刺繍を長年手がけ、そして2002年にCHANELのメティエダール(“芸術的な手仕事”を意味するフランス語で、シャネルの傘下にある専門アトリエの職人技を讃える称号)に加わってからも、以前と同様にその卓越した職人技でオートクチュールの夢を紡ぎ続けているアトリエです。LESAGEではCHANELのオートクチュール用の刺繍だけでなく、ツイード生地も織られています。

CHANELのツイード生地の種類|LESAGE

そもそもツイードとは、羊の短い毛やくず糸などで作った「紡毛糸」を用いて織られた、粗っぽい表面の毛織物のことを指します。紡毛糸で織られた「紡毛織物」の代表的な存在です。暖かく防寒性が高いことが特徴で、基本的には秋冬系の素材として冬用のコートやジャケットなどに使用されることが多いとされています。CHANELのコレクションで使用されるツイードには、大きく分けて二種類あります。一つはプレーンツイードと呼ばれる最も基本的なツイードで、平織りとあや織りによる単色の糸で織られます。二つ目は、ファンタジーツイードと呼ばれるツイード生地で、異なる素材の糸、様々な色、そして様々な織り方で織られる生地を指します。CHANELのユニークで美しいファンタジーツイードの多くはアトリエLESAGEで今も手織りで作られています。

(参照: Curatedition, Chanel Tweed: The Making of, 3 September 2017, Carol Lee, https://curatedition.com/fashion/chanel-tweed-making/)

アパレル転職

CHANELのツイード生地のインスピレーション|LESAGE

LESAGE でCHANELのツイード生地が制作される過程はまず、CHANELのデザイナーのデッサンを受け取り、アトリエの職人との意見交換の後にLESAGEがツイードの見本を提案し、デザイナーの合意が得られた後に実際の作業にとりかかります。2011年からLESAGEでアーティスティック・ディレクターを務めるユベール・バレールは、Karl LagerfeldがCHANELのデザイナーを務めていた時のことをこう語っています。“カールはいつも『想像できないものが欲しい。考えられないようなものが欲しい』と言っていました。ツイード織のテクニックは昔からさほど変わっていません。違いはモチーフや素材で、大切なこととして、素材の組み合わせ方が挙げられますね。これまで避けてきた相反するものを組み合わせることで新しいハーモニーを生む、ということです。フランス語では『オクシモール』といいますが、僕がルサージュでしようとしていることを特徴づけるのがこの言葉です。“(出典:madamefigaro, シャネルの刺繍とツイードを生み出すルサージュ。, https://madamefigaro.jp/fashion/series/chanel/180124.html

このユベール・バレールの言葉からもわかるように、CHANELとLESAGEはともに、革新的な新しいツイード生地の開発に常に力を注いでいるのです。

CHANELのツイード生地の織られ方|LESAGE

LESAGEの織り職人は、CHANELのデザイナーのコンセプトを解釈し、そのコンセプトに沿ってどの素材、どんな色を使うかを考え、ツイードのテーマを決めます。LESAGEによって織られるCHANELのためのファンタジーツイードはいつも革新的であることが求められるため、いつも異なるテクニックを組み合わせて新しい織り方、素材を研究することが要求されます。例えば、いくつかの糸を強く結び、そして撚りをかけ新しい糸を作ったり、すでにあるデニム生地などを細く裂いてリボン状にして糸として使用したりするのです。ツイードのテーマが決まり、マテリアルと織り方が決まったら、織り機をセッティングしていきます。まず経糸を‘おさ’と呼ばれる櫛状の道具の細い隙間に一本一本正確に通します。そして更に‘そうこう’と呼ばれる経糸を通す小さな穴に糸を根気よく通して、経糸を巻き取っていきます。経糸の巻き取りが終わったら経糸の上げ下げを行うための織り機のペダルのセッティングを行っていきます。経糸のセッティングが終わったら、織り方に沿ってペダルを踏み、横糸を入れていきます。こうしてCHANELのツイード生地は手織機を使って一織りずつ丁寧に織られているのです。

(参照: Curatedition, Chanel Tweed: The Making of, 3 September 2017, Carol Lee, https://curatedition.com/fashion/chanel-tweed-making/)

CHANELのツイードスーツの現在

今でこそ、女性のスーツは多様化してきましたが、最初の女性のためのスーツはGabrielle Chanelの作り出したシャネルのツイードスーツに違いありません。これまで幾多のデザインを世に送り出してきましたが、当時から変わらぬシャネルスーツのそのコンセプトは変わっていません。Gabrielle Chanelのポリシーである「女性の自立と自由」からも想像できるように、まず過度な可愛らしさよりも男性に媚びないストレートでフォーマルなデザインが主とされています。そのためフリルや大きなリボンといった過度な装飾は一切ありませんが、その代わりツイード生地に使用する素材や色で常に遊び心や新しさを表現しているのです。だからこそ今でもCHANELのツイードスーツは多くの女性にとってとても魅力的なのです。

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