アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
アパレル・ライフスタイル業界での
転職にまつわる豆知識
アパレル業界では、コロナ禍の影響で実店舗にさまざまな課題が生まれています。そんな中、店舗運営をどのように行っていくかを考える上での重要なキーワードが、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)です。今回はアパレル業界のVMDの仕事内容やVMDに転職するためのキャリアアッププラン、そしてアフターコロナ時代におけるVMDの役割をご紹介していきます。
VMDとはVisual Merchandising (ビジュアル・マーチャンダイジング)の略で、視覚的(V)にマーチャンダイジング(MD)を行っていくこと、ないし人を指します。日本ではVMDと略されることが一般的ですが、英語圏ではVMと略されています。マーチャンダイザー(MD)が仕入れや販売、管理などを最適化することに対し、VMDは目で見える部分、売り場や販売環境における演出の最適化を行います。販売計画をよく理解した上で、「適品」を「適量」で「適時」に配置していくことが求められます。
アパレル業界のVMDの主な仕事は、お客様に対して視覚に訴えるようなお店、売り場づくりをするのが基本的な仕事内容となります。その仕事内容は、実店舗の場合とECサイトの場合と大きくわけて二つに分類出来ます。
ブランドコンセプトやブランドイメージ、シーズンイメージなどを視覚的に演出し、お客様の目に止まりやすくするための引き込みの役割をするのがVP(ビジュアル・プレゼンテーション)という仕事です。一目見たときに視覚に効果的に訴えかけられるように、実店舗のショーウィンドウや入り口周辺のレイアウトが特に大切となります。VP(ビジュアル・プレゼンテーション)は集客率に大きく影響するVMDの重要な仕事の一つです。
PPとはPoint of Presentation(ポイント・オブ・プレゼンテーション)、またはPoint of Sales Presentation(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション)の略で、お店に来た人が店舗内を回遊したくなる動線作りをすることです。マネキンなどの什器を使って新商品やシーズン商品など、企業が特にピックアップしたいアイテムをアピールします。入り口やレジの近く、店内の中央や角などに展開することで注目を集めて、店内へ誘導することが狙いです。
IPとはItem Presentation(アイテム・プレゼンテーション)の略で、お店に来てくれた人に商品を手にとってもらうために、商品の陳列方法を工夫して売場環境を整えることです。商品を種類ごとに分類するだけでなく、気軽に比較検討が行えるように類似商品を近くに陳列することも重要な戦略の一つです。主に売場で一番広い面積を占めるテーブルや棚などで展開されます。
前述した3つのVMDの仕事は、実店舗だけでなくECサイトでも活用することができます。お客様の目に止まるようにするVP(ビジュアル・プレゼンテーション)は、ECサイトでは最初のメインページであると考えられます。初めてサイトを見た人の目を引く魅力的なページデザイン、文章を考える必要があります。そしてPP(ポイント・プレゼンテーション)の場合は、企画ページが例となります。「この冬着たいニットウェア、こんなに着回し幅が効く!」という企画ページがあったとしたらの場合、それを参考にニットウェアを購入しよう!と思わせたり、ページの最後に他の企画ページがを設置して、合わせて読んでみたいと思わせたりすることができるでしょう。このように、PP(ポイント・プレゼンテーション)を効果的に使って、サイト上での滞在時間を増やしていきます。IP(アイテム・プレゼンテーション)は、商品のカテゴライズがそれに当たると言えるでしょう。新しいデニムパンツが欲しい場合、カテゴリーの中からボトムス→パンツ→デニムと探したりするのが一般的です。するとデニムパンツのみが一覧で表示されるので、お客様は商品を比較しやすく好みのものをその中から簡単に探すことができます。
デザイナーや本社からの指示通りに売り場を作るだけでなく、売上や市場動向によって臨機応変な対応が求められるアパレル業界のVMD。売上げを後押しするディスプレイを作るには、ブランドに対する深い理解やセンスだけでなく、経験や専門性が必要なため、未経験からVMD職に就くのは難しいと言えます。VMDの募集要項でも、多くの場合が「アパレル販売経験○年以上」「店舗マネジメント経験」といった経歴を求められます。アパレル業界の販売として現場で得た経験はVMDにとって大切なスキルになるため、VMDを目指すのであれば、まずは販売スタッフとして経験を積むことをオススメします。実際に店舗の販売員として働いていると、商品のディスプレイをしたりマネキンを着せ替えたりする中で、商品の陳列方法について、魅力的なお店づくりについて学んでいきます。そして市場ニーズの理解や、他店との比較、コーディネートスキルの向上など日頃の努力も重要となってきます。アパレル業界のVMDは実務経験が必須な職業なので、まずは店舗にてブランドの知識や売り場づくりのノウハウを学ぶことが重要です。
VMDには「商品装飾展示技能士」という、日本ビジュアルマーチャンダイジング協会が支援している国に認定された資格試験があります。VMDに対する知識やスキルがある事を証明する資格になるので、募集要項に記載のない場合は必須ではないものの、取得しておくとアパレル業界のVMDへの転職に有利になるでしょう。
(出典:日本ビジュアルマーチャンダイジング協会 http://www.javma.com/skill-examination.html)
アフターコロナの時代においては、人の暮らし方の意識が変わるとされ、既存の季節や商品コンセプトだけにフォーカスした従来のVMD戦略だけでは集客率向上につながらない可能性も考えられます。コロナ禍がもたらしたアパレル業界への大きな変化といえば、以前よりさらに消費者がECサイトを利用して購入する傾向が強くなったことです。そのため、実店舗のショップスタッフによるオンラインでの接客サービスが生まれています。ショップスタッフがオンラインに画像をアップしスタイリングを提案するという試みも開始されています。しかし、ECサイトが隆盛とはいえ、実店舗の存在が必要でなくなるわけではないと言われています。店舗の役割は体験を提供することであり、実際に手に取って商品を見られる空間ということに価値があります。それはECサイトにはない魅力です。
では、アフターコロナの時代における実店舗のVMDの役割にはどのようなものが考えられるのでしょうか。例えば、従来よりもマネキンや棚、什器の間隔を空けるようにするなどの工夫をする店舗が増えています。ディスプレイの間隔を空けることで、お客様同士の距離も空き、安心で快適と感じられる空間になります。また最近では、お客様の動線を考えて店内の配置を考えている店舗も出てきています。とくにレジ周辺が込み合わないように注意をする必要があります。効率のよい導線を検討するためにも、モニタリングを利用した導線分析も実施することも効果的でしょう。また、店舗中央に大きな花壇を置くショップもあります。コロナ禍の自粛で委縮した気持ちを安らげるような空間づくりも喜ばれます。他にも、お客様が一度に大勢店内にいる状態にならないようにアポイントメント制にしたり、入り口に混雑状況を伝える表示を行ったりする方法も採用されています。アフターコロナの世界であっても、ショップのコンセプトやブランドイメージを伝えるVMDの仕事は、アパレル企業にとってとても重要な職種と言えるでしょう。
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