新型コロナウィルスの影響を受けて、2020年は多くのアパレル企業が実店舗の休業を余儀なくされ、苦境に陥りました。2021年現在でも新型コロナウィルスのアパレル業界への影響は続いています。そこで今回は、「The Business of Fashion」と大手コンサルティング会社「McKinsey & Company」が発表したアパレル業界における2021年の動向予測を元に、2021年のアパレル業界の予想される今後の具体的な見通し、そして日本のアパレル業界の求人動向を詳しく見ていきましょう。
新型コロナウィルスの感染拡大は、多くの人々の生活に影響を与え、国際貿易から旅行、経済、消費者行動までを混乱させました。アパレル業界が、今後も続くと予想されるこうした先行き不透明な状況を乗り越えるためには、それぞれの企業が経営方針を見直し、社会情勢に適応したより柔軟な対応と迅速な意思決定が求められていくでしょう。
2020年は新型コロナウィルスの影響を大きく受けたアパレル業界でしたが、2021年は徐々に回復に向かうであろうと予測されています。しかし、パンデミック前と比べると社会的な経済成長の勢いは衰え、失業者増加や社会的経済格差拡大などにより消費者のアパレル商品への購買意欲が低下することが予想されます。そのため、アパレルの需要がパンデミック前のように増加することは考えづらく、アパレル企業は新たな販売戦略やアフターコロナに求められる商品を見極め、すでに業績が伸びている部門、分野、地域をさらに強化していくことが必要となってきます。
2020年アパレル業界では、デジタル化への移行が急激に加速しました。多くのアパレルブランドがオンラインを今まで以上に活用するようになり、SNSを活用したライブストリーミングやビデオチャットでのカスタマーサービスの対応、実店舗に代わるオンラインショッピングなどの展開により商品の売り上げ維持を試みました。タッチレス、キャッシュレス、ペーパーレスやコードレスなど、今まで以上にデジタル化への移行が加速したことにより様々な施策が行われ、オンライン接客やオンライン販売も消費者からの一定の評価を得ることに成功しました。2021年はオンライン上において、さらに顧客のニーズに対応したサービス提供を考えることが重要視されていくでしょう。
2020年はコロナ禍の影響で、新商品やコレクションの大量生産が必ずしも好業績につながるとは限らず、アパレル業界の収益性への考え方を見直すきっかけとなる年となりました。2021年にはアパレル企業は、適切な価格と顧客のニーズに対応した品揃えを維持しつつ在庫数を極力減らすことや、そのシーズンの新商品とリストック商品の入れ替えを臨機応変に行うことが必要です。
アパレル業界では、パンデミックが発生した2020年に、社員の働き方を根本的に変えることを迫られました。今後の2021年以降は、来期を見据えた業績向上のために、さらにアパレル業界全体で新たな働き方へとシフトする傾向が強くなるでしょう。企業はリモートワークとオフィス勤務の働き方を再検討し、人材育成の強化、従業員が会社に所属する目的と意義が持てる最適な環境を整えていく必要があります。
(出典:McKinsey & Company, The State of Fashion 2021 https://www.mckinsey.com/industries/retail/our-insights/state-of-fashion)
アパレル業界にとって新型コロナウイルスの多大な影響を受けた2020年は、非常に厳しい年となりました。しかしそのような苦境の中であっても、業界全体として遅れをとっていたデジタル化を加速させることに成功した一年でもありました。アパレル業界の採用市場については、多くのアパレル企業が2020年2月以降、新規の採用活動を一時的に中断し、人材の配置の見直しを行った影響で、業界全体の求人数は大幅に減少しました。その反面、EC、SNS、ライブコマースの運用やデジタルマーケティングに携わる職種は、コロナ禍のアパレル業界においても企業の即戦力とみなされ採用意欲が高まり、特にEC・通販関連の求人数は前年度の同月を上回る結果となりました。
2021年以降、アパレル業界全体での求人数は回復していくと見込まれています。特に DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をキーワードに、事業経営の観点でDXの実現を考えるポジションや、マーケティング、EC、生産管理、といったDXに直接的に繋がりのある職種などは企業からのニーズが高まる傾向にあり、2021年以降に新たな人材を採用する動きはより活発化することが予想されています。また、コロナ禍でも安全に楽しめるアウトドアなどに人気が集まっていることや、テレワークでの運動不足を解消するために自宅などで体を動かす人も増えたため、スポーツアパレルブランドの売り上げが好調に推移しています。そしてリサイクル、リユースビジネスも引き続き右肩上がりの成長を続けています。これらの影響によりスポーツアパレルブランドやリサイクル、リユースビジネスに関連する企業の求人も増加していくことが想定されます。業種や職種によっては、求人数は2021年のうちに新型コロナウイルス流行以前の水準に戻るか、もしくはそれを上回ると考えられます。一方、アパレル業界の就業人口の大半を占めている店長・販売職は、新型コロナウィルスの影響で実店舗を閉店・縮小する企業が多いことなどを理由に、求人数が2020年以前の状態に回復するには数年かかるとも言われています。
まとめ
2020年はアパレル業界にとって変革の一年であったといえるでしょう。2021年はコロナ禍での社会情勢に対応するために、更なる変化が求められる年となるでしょう。具体的には、今後予想されるアパレルの需要低下への対策や、デジタル化への移行、在庫管理の徹底、そして社員の働き方の改革が必要となると言われています。また2021年のアパレル業界の求人数は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に関連性の強い職種や職業を筆頭に、徐々に回復に向かっていくことが予測されています。
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