アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
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昨今のアパレル業界において、「コラボ」関連のニュースは珍しいものではありません。実際、アパレルブランドとセレクトショップ、ブランドとデザイナー、ブランドとアニメキャラクターなどのコラボが、次々と発表されています。また、コラボ戦略は様々な業界で増加していますが、ファッション業界が群を抜いて多いことも特徴的です。今回は、このアパレル業界のコラボについて、ご紹介します。
「コラボ」も「別注」も、同じようにアパレル業界で頻繁に登場するワードですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。まず「コラボ」は、”コラボレーション”を略したものですが、これは双方の協力のもとで製品を生み出すことを意味します。そのため、新たなデザインが生み出されることや、双方の魅力が反映されやすいデザインになることが多いといえます。では、「別注」とは何でしょうか。別注は「特注」とも言い換えることができます。つまり、元々ある製品のメーカーやブランドに対し、ファッションブランドやセレクトショップが仕様を変更して注文をするという事です。例えば、カラーの変更、素材の変更、プリント、その他デザインの追加などが行われます。その為、大きくデザインが変更されるというより、ブランドやセレクトショップそれぞれのこだわりを感じられることが多いのが特徴です。
ファッションコラボが本格化したのは、いわゆるファストファッションとデザイナーとのコラボがきっかけでした。2004年にH&Mがデザイナーコラボ第1弾として、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)とのコラボを発表しました。これに続いてH&Mはステラ・マッカートニー(STELLA McCARTNEY)(05年)などビッグネームのデザイナーはもちろん、マドンナ(Madonna)やカイリー・ミノーグ(Kylie Minogue)などのセレブ、あるいはFashion Against AIDSと称したエイズ撲滅キャンペーンでもデザイナーたちとのコラボを行いました。
出典:WWDJAPAN
では実際、アパレルブランドなどがコラボすることで、ブランドや企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、商品を一からつくるよりも、製造コストが効率的になります。また、通常の商品発表や広告効果以上に話題性や注目度が上がることが期待できます。そのため、製造コストだけでなく、広告やマーケティングコストの効率も高くなります。
コラボ先のブランドがすでに獲得している顧客に対して認知を広げることができます。そこから、これまでリーチが難しかった層の顧客獲得に繋がる可能性が高まります。
同業種のコラボだけでなく異業種とコラボをすることで、異業種のマーケティング手法を知ることができるとともに、自社の現状を見直すきっかけになります。また、コラボ施策の企画・実施プロセスの中で、自社だけでは思いつかないような方法に出会える可能性があるのです。
トータルでブランドが活性化され、ある意味でのブランド広告的な役割も果たします。
コラボ事業にはメリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。
まずコラボ先を見つけるのが難しい、という問題があります。さらに、コラボ先の経営やマーケティング課題の状況によって案件が左右される可能性があります。コラボ先企業との関係性をうまく構築していくことが重要といえるでしょう。
社内だけでなく、コラボ先企業との調整に時間を割く必要があります。当たり前ではありますが、これは社内だけで商品を作る場合と大きく異なる点です。
昨今、ファッションブランドと異業種分野のコラボは珍しくありません。アパレル同士のコラボにおいても、コラボ先の影響力を活用できたり、今までリーチできていなかった顧客へ情報を届ける事ができるというメリットがありますが、異業種とのコラボにはどのような価値があるのでしょうか。例えば音楽や漫画、飲食などの体験価値が高い分野とコラボでは、アパレルブランド側は、その体験価値を利用して服を販売することが可能になります。アパレル単体では難しい「体験」をプラスできるのです。それぞれの人気コンテンツがコミュニティを形成し、体験が組み合わさることで、そこから生み出される製品に付加価値を与えているといえるでしょう。
今や、企業・個人関係なくメディアを持つことが可能な時代になりました。メディアやSNSを通じて、誰でもコンテンツを発信できます。つまり、広告や出版社を通さなくても、企業が直接、消費者と接点を持つことができます。発信力をもつブランドがコラボすることで、お互いにお互いの発信力を活用してより多くの消費者にリーチすることが可能になったのです。また、昨今のコラボには単純な組み合わせだけではなく、その組み合わせが生むニュース性、拡散性が強く求められるようになってきました。今後はさらに、SNS等を利用した顧客参加型の体験や、エンターテイメント性を高めたイベントなど、単なる組み合わせにとどまらない新たな「コラボ」が増えていくでしょう。
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