アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
アパレル・ライフスタイル業界での
転職にまつわる豆知識
事務・管理系の職種である法務。今回は、アパレル企業の法務の具体的な仕事内容や法務の仕事に必要なスキル、役立つ資格などをご紹介します。
アパレル法務の仕事は、会社の活動に関わるすべての法律関係を把握し適切に対応することにあります。そのため、法務の仕事内容は多岐にわたります。法務の仕事内容は企業や規模などによって異なりますが、大きく分けて4つに分類されます。
法務の仕事の中でも最も大きな割合を占めるのが契約・取引法務です。具体的には、企業活動に関わる売買契約、秘密保持契約、業務委託契約などの条文をチェックする業務です。また自社の製品や技術の特許や著作権を保全するとともに社外との取引で活用することもあります。国内契約のみならず、海外との契約事項のチェックも担当します。
株式会社として、企業活動していくのに欠かせないのが組織法務です。定期的に開催される株主総会や取締役会の運営のみならず、株式に関わる法的諸業務(発行や分割)、定款の変更、子会社の設立などを担う法務です。
コンプライアンスとは法令遵守という意味です。近年、企業や経営者役員、従業員の法律に関するリテラシーが問われています。コンプライアンス法務の具体的な仕事内容は、社内ルールやマニュアルの作成、社内研修の実施、相談窓口の設置やコンプライアンス違反がないようにチェック・統括する部署を作る組織改正などがあります。
紛争対応法務の関係者は主に取引企業、ライバル企業や顧客なります。取引企業との契約上のトラブルや特許や商標に関するライバル企業との紛争、顧客からのクレーム等に対する法的対応も法務の仕事です。場合によっては、訴訟対応を行うこともあります。
アパレル法務の仕事では、国内外の法律や相手方との契約合意に基づいて行われる必要がありますから、法務職種の人材は法律的な見地から営業部隊を支える役割を担っています。そのため専門の法律知識と思考回路は、法務の仕事においては最も重要なスキルの一つと言えます。事実、大手企業の法務部には弁護士が常駐していますし、法務部員の多くも大学・大学院で法務部に在籍し、法律の知識と法律的な思考回路を磨いてきた人材を多く配置しています。また、法律や商慣習は時々刻々と変化するものですから、都度情報をアップデートできるよう、アンテナを高く張っておくことも求められます。
アパレル法務の仕事は、事業部が推進したい事業の主旨・戦略を理解した上で、最も有効な契約内容を示唆し導く役割を期待されていますから、事業部との間で効率的なコミュニケーションを取ることが必要不可欠です。事業部の意図、相手方との交渉状況を適切に理解し、法律的見地からフィードバックするためには、高いコミュニケーションスキルが必要になります。
アパレル法務に必要なスキル❘ 3.変化への柔軟な対応力
昨今のITの進化、経済のグローバル化、働き方改革など、アパレル業界を取り巻く環境が様々な分野で変化し、変化に合わせて法令も改正されます。アパレル法務の仕事でも、法令の改正に合わせて社内ルールや取引関係の見直し等の対応が必要となります。情報に敏感で、環境の変化に対してスピード感をもって対応できる人材が求められています。
法務の仕事で役立つ資格は、司法試験、司法書士のように取得に何年もかかるものもあります。しかし、数ヶ月から1年位の勉強で取得可能なものもあります。
東京商工会議所が実施する検定試験で、1級から3級まであります。検定内容は「企業活動に関連する法律についての知識」で、2級以上取得できれば一定の評価が得られます。
(出典:東京商工会議所 検定試験情報 https://www.kentei.org/houmu/)
サーティファイ・コンプライアンス検定委員会が実施する検定試験で、初級と上級があります。上級の合格率は25%程度で、難易度はビジネス実務法務検定2級くらいです。コンプライアンス担当者向けに、ビジネスにおけるコンプライアンスの価値判断基準や対応を問う試験です。
(出典:サーティファイ・コンプライアンス検定委員会 https://www.sikaku.gr.jp/co/)
アパレル業界でも海外企業との取引や企業の海外進出が増えたため、法務でも英語の必要性が高まっています。転職希望先に英語ができる人材へのニーズがあれば、転職で有利になります。PR効果が高く、数カ月の学習でも取得可能なのでチャレンジする価値はあります。
(出典:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide01.html)
アパレル企業法務の担当者には、幅広い法律知識はもちろんのこと、自社のビジネス、アパレル業界の特性、動向などをよく理解していることが求められます。また社内外とのコミュニケーションを積極的に行なっていくことで、単なる裏方ではなく、ビジネスを推進する立場として重宝され、より活躍できるでしょう。そして法務に関する資格を取得することで、アパレル法務職への転職成功の可能性も高まるでしょう。
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