アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
アパレル・ライフスタイル業界での
転職にまつわる豆知識
コレクションブランドやファッションブランドなどで、2019A/W、2019F/W、2020S/Sという表記を見たり聞いたりしたことはないでしょうか?このように、接客業やスピード重視の販売の仕事では「専門用語」「業界用語」といったものを活用することが多くなります。また、シーズンごとに流行が変わるアパレル業界では、毎シーズン様々な新しい用語が生まれます。今回は、SS、AWに代表されるアパレル業界の専門用語や略語についてご紹介します。
そもそも。なぜ「業界用語」は必要なのでしょうか。その重要性や使う意義を解説していきます。特に、業務時間にお客様と多くの時間を過ごす販売スタッフはぜひ理解しておいてください。
専門的に使われる言葉とは、いずれもそのものをわかりやすい言葉で表現しているものであり、細かい説明を省くことができます。たとえば「トルソー」は、胴部分のマネキンのことを指すのですが、「胴部分のマネキンに着せておいて」というよりは「トルソーに着せておいて」の方がシンプルで分かりやすく相手に伝えることができます。お客様が口頭で伝える内容をメモする時には略語が使えます。スカートやパンツのように表記するよりも「SK」「PT」とすればメモを取るスピードも速くなり、お客様の言葉を聞き逃さずにすみます。このように、専門用語や略語を使うことで仕事がスムーズになるのです。
アパレル販売員は、店頭での仕事中、常にお客様と接しているため、スタッフ同士の会話にも気を遣う必要があります。お客様の前で「休憩に入ります」「お手洗いに行ってきます」と声をかけることは、良い印象を与えません。もちろん、従業員だけしかいないところへ入るのが一番かもしれませんが、いつお客様に声をかけられるかわからない仕事なので、できるならその場で伝えられるのが好ましいでしょう。よく使われるのが「休憩に入る」「お手洗いに行く」などの場合を番号で伝える方法です。店舗によって違いはありますが、1番や2番のように番号で伝えることで、内容をスタッフ間のみで認識することができます。スタッフに簡潔に伝えられるだけでなく、お客様にとって不要な情報を店頭で発することを避けられるのです。
S/Sは春を意味するSpringと、夏を意味するSummerの頭文字で春夏物を意味します。A/Wは秋を意味するAutumnと、冬を意味するWinterの頭文字で秋冬物を意味します。またF/Wも同じ秋冬物の意味ですが、アメリカではFallが使われ、ヨーロッパでは主にAutumnが使われています。
読み方はSSなら「エスエス」や「スプリングサマー」、AWは「エーダブリュー」「エーダブ」「オータムウィンター」、FWは「エフダブリュー」「エフダブ」「フォールウィンター」などが一般的です。
このS/S、A/W、F/Wはアパレルでは重要な販売指標になり、S/S、A/W、F/Wの販売周期によって売り手側、買い手側が動いています。アパレル業界で忘れてはいけないのが、販売側と買い手側の需要と供給のタイミングをしっかり合わせることです。また追加生産や新作を作る際は、この販売周期を基準にして、生産期間、販売ニーズ期間を事前によく考えて戦略をたてます。
シーズンを表すSSやAW以外にも、アパレル業界にはたくさんの専門用語や略語が存在します。最後に、その一部をご紹介します。
【導線】
お客様が店内に入られてから商品を見て歩く経路のことです。アパレルの店舗は、この導線を基準にお客様の回転率や回遊率を上げるレイアウトを考えます。
【VMD】(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)
お客様の視覚に訴えながら、お客様が見やすく購入しやすい売り場をつくること。またそれを目的として売り場の演出や装飾の最適化を行います。
【VP】(ヴィジュアル・プレゼンテーション)
その店舗やブランドのコンセプト、イメージを表現し、お客様に印象付ける役割を持ったディスプレイのこと。店舗のショーウインドウや売り場の前面に設置してあるディスプレイなどを指します。
【IP】(アイテム・プレゼンテーション)
棚やハンガーラック、ガラスケースなどを使用して商品が陳列されている場所のこと。類似品や比較できる商品を近くに配置したり、手に取りやすい場所に商品を配置することで、お客様の購入率を高めます。
【PP】(ポイント・プレゼンテーション)
オススメ商品や人気商品などで導線をつくった各コーナーのディスプレイのこと。壁面や棚の上、柱の上部など、お客様の目につきやすい場所や目線の高さにディスプレイを配置することで、お客様が店内を回遊したくなるようなしかけをつくります。マネキンもPPの一つです。
【フェイス】
お客様の目によく触れる陳列棚や、ラックに商品を並べた時の前面部分のこと。お客様から見える商品がどれくらいあるかを「1フェイス、2フェイス」と表現することもあります。
【消化率】
シーズン末の商品の在庫数量を、投入した時期の数量で割ったパーセンテージのことです。このパーセンテージが高いほど、売れ行きがよかったということになります。
【旗艦店/フラッグシップ・ショップ】
そのブランドにおいて、数ある店舗の中でも中心的な店舗のこと、特に重要な位置づけのことを指します。フラッグシップ・ショップはフラッグショップと呼ばれる場合もあります。
【梅春物】(うめはるもの)
冬のセールアイテムの在庫が少なく、しかし春物を大々的に売り出すにはまだ早い頃に売り出す商品のことを指します。素材は冬物でありながら、カラーやデザインで春らしさを演出します。
【晩夏物】
夏のセールアイテムの在庫が少なく、しかし秋物を売り出すにはまだ早い頃に売り出す商品のことです。夏の涼しい素材やシルエットでありながら、カラーやデザインで秋らしさを演出します。季節は春夏秋冬に分けられますが、春と秋が短いことからこれら梅春物と晩夏物が取り入れられるようになりました。
【OEM】
これはOriginal Equipment Manufacturingのことで、他社の商品を製造することを指します。商品計画や販売戦略等は行いながら、自社の工場を持たないアパレル企業がOEMによって商品を生産します。
【ODM】
Original Design Manufacturingのことで、商品デザインから生産までを社外のメーカーに任せることです。
■まとめ❘アパレル業界の専門用語
普段馴染みのない言葉ばかりですが、アパレルの売り場づくりにおいてはとても重要な言葉です。販売員になるとお客様の接客をするだけでなく、ディスプレイなどの売り場づくりを任されることも増えていきます。アパレル業界へ転職を考えている方、早く店作りに携わりたいという方は覚えておくときっと役立つでしょう。
また、専門用語などの知識を持っておくと、仕事スピードも速くなり、販売員としてのスキルがアップします。今回紹介した用語や略語以外にも知っておくべき言葉がたくさんあるので、わからない言葉や自分にとって必要な内容は積極的に学んでいきましょう。
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