アパレル・ライフスタイル業界での転職にまつわる豆知識
アパレル・ライフスタイル業界での
転職にまつわる豆知識
アパレル業界に対する憧れや夢を持っている方でも、いざ就職・転職となると業界そのものの未来は気になるものでしょう。人生を捧げるに値する業種なのか、数十年後もアパレル業界に身を置いていられるのかが気になる方は多いのではないでしょうか。
人生設計において、身を任せる業界の将来性について詳しく知ることはとても重要です。アパレル業界の現状や課題をしっかりと確認しながら、数十年先の未来予想図を見通してみましょう。
2019年後半、日本でも人気を誇った「フォーエバー21」の撤退が大きな話題を呼びました。また、老舗アパレル企業「レナウン」が、コロナウイルスによる影響が決定打となり、経営破綻に至ったのは記憶に新しいところです。
このような暗い話題も見え隠れするアパレル業界ですが、業界の現状はどのようになっているのでしょうか。まずはアパレル業界の現状と課題を整理して、そこから将来性を見通していきましょう。
十数年前まではブランド志向が強い消費者が多く、高品質な物であればお金を惜しまずに購入するという人が目立っていました。しかし近年では消費者の低コスト志向が高まり、ファッションに多額のお金をかけないという人が増えています。
全身をブランド物で着飾る人はほとんど見られなくなり、バッグやアクセサリーだけを一流品にする一点豪華主義も減りました。流行を掴み、お金をかけすぎず、嫌みにならないファッションを志す人が増えているのです。
その背景には、ファストファッションの高品質化があると見て間違いありません。安くても長持ちして、デザイン性も良く、機能面でも劣らない製品が増えたからこそ、世間の意識が低コスト思考へと傾いているのです。
アパレル業界において逆風となっているのがフリマアプリの台頭です。中古品という難点はあるものの、良い物ですら安く買えるという特性を持つことから、若者を中心に利用者を大幅に増やす結果となりました。
シーズンごとに流行性の高いファッションを取り入れるという人にとっては、大量購入・大量消費ができるフリマアプリはとても便利な存在です。こうした時代の変化に対応できないブランドも不振に喘ぐ結果に陥りつつあります。
一方で、ラグジュアリーなファッションにお金をかけるタイプの人物が淘汰されたわけでもありません。ブランド志向が高く、高品質な物を求める人物も依然として多く、消費者の需要は二極化へと突き進んでいます。
シンプルに安い・高いという区切りを明確にしているだけ、あるいはブランドの名前に頼っているだけでは、競争に生き残れないというのがアパレル業界の現状です。ブランディングを進め、個性や特徴を示して訴求することが勝ち組になるための条件といえます。
アパレル業界の現状を鑑みると、両手を挙げて「安泰」と断言できる状況にないことは明確です。ただし、アパレルは生活必需品かつ消耗品でもありますので、どのような時代が訪れようとも一定以上のニーズを満たすこともまた事実といえます。
アパレル業界の将来性は明るいのでしょうか、それとも暗いのでしょうか。ここからは、現状と課題を踏まえた上での将来性を見通していきましょう。どのような思考を持つ企業が生き残れるのかを見極めることも、業界志望者にとって極めて重要です。
インターネットを使った売買が活発化されている現在は、ブランドから消費者に向けて直接的に販売する戦略から勝算を見出すこともできます。日本の市場以上に流行に敏感であり、ファッションにお金をかけようと考える外国人は非常に多いのです。
ハイブランドにしても、日本国内のマーケットを支えていたのは中国人をはじめとする海外からの旅行者でした。銀座などに店舗を構えるアパレルの不振や閉店ラッシュも、コロナウイルスの蔓延による影響が多分に作用したことは間違いありません。
海外向けサイトの新規オープンや拡充、海外における販売店の設置という形で、より多くのターゲットを見つけることは可能です。生産拠点を海外に移すことも、コストの削減を行い、低価格化を実現させるための貴重な一手となるでしょう。
ネットショップ(ECサイト)を活用した販売はアパレル業界の生命線ともいえる状況にありますが、商品の「分かりやすさ」という面では大きな課題を残しています。たとえば正確で適切なサイズが伝わらなければ、消費者の購買意欲は下がってしまうのです。
大手ECサイト「ZOZO TOWN」では、サイズを正確に測るための画期的なアイディアとして「ZOZOSUIT」の販売を行いました。これは分かりにくさを解消させるための具体的な一手であり、消費者心理に立ったことによる企業イメージの向上にも成功しています。
大幅な値引き等を実行するZOZO TOWNの運営方針には賛否あります。しかし、一度は撤退した企業がZOZO TOWNに再出店するケースもあるなど、ZOZO TOWN現代において極めて影響力の高いECサイトであることは間違いありません。
消費意欲が落ち込んでいる現代も勝ち組の代表格として残り続けているのは、決して偶然ではないのです。消費者にとって分かりやすく、かゆいところに手が届くサービスを実現させることによって、アパレル業界全体の将来性が明るくなります。
たとえどのような時代が訪れたとしても、衣料品が生活必需品であることは確実です。コロナ禍においてはスーツの売り上げが激減しましたが、家で過ごす時間が増えたぶん、部屋着の需要が高まったことは想像に難しくありません。
時代やタイミングにマッチした商品を販売すれば、自ずと道は開けます。ファッションそのものの流行性に目を向けるだけではなく、人々がどのような生活を求め、望んでいるのかという点に着目するブランドは伸びると見て間違いないでしょう。
個人としての将来性という意味で不安を感じる方が多いこともアパレル業界の特徴です。店舗で販売員として活躍する人物は、男女ともに20~30代がメインとなりますので、その後の将来が心配になるのは当然ともいえるでしょう。
しかしアパレル業界では、年齢に見合ったキャリアアップを目指すこともできます。店頭から姿を消したスタッフが、そのままアパレル業界から去るということは決して多くなく、ブランド内で別部署へ異動となることも少なくないのです。
たとえばデザイナーやパタンナーといったアパレルの花形といえる仕事をする人物も、最初は接客全般のスキルアップのために店舗へ配属されることが普通です。頑張りや成績が報われる業種でもあるため、将来性を過度に不安視する必要はありません。
アパレル業界の現状は、消費者の低コスト志向とフリマアプリの台頭によって決して芳しいとは言えません。しかし着実に結果を残す企業もあり、ブランディング等によって独自色を明確化させたブランドの躍進が目立ちます。
どんな時代だとしても、衣料品が生活必需品である事実は変わりません。より消費傾向の強い海外に目を向けることもでき、個人レベルでもキャリアアップを目指すことのできる業界でもあることから、将来性について過度な不安を抱えることはないでしょう。
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